こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
マーケティングにおいて
お客さんのニーズに耳を傾けることは重要です。
集客にしろセールスにしろ、
お客さんを理解していないと結果は出にくいからです。
ただし、「お客さんの発言」を真に受けすぎてはいけません。
なぜなら、人間の意見は変わりやすく、
思ってもいなかったことを
後からでっちあげて話すケースも多いからです。
たとえば、商品を買ってから感じたことを
「買う前からずっと、◯◯と思っていました」と
語ってしまう人がいます。
その発言を信じて集客用のコピーを書き換えても
反応は上がりません。
こうした現象がお客さんに悪気がなくても
ときどき起きてしまうのです。
その傾向がよくわかるのが
2010年に心理学者のペター・ヨハンソンらがおこなった実験です。
この実験では、パッケージを隠したお茶とジャムを
被験者に試食するように促した上で、
好きな味のものを選んでもらいました。
重要なのはここからで、被験者にバレないように
お茶とジャムの中身を研究者がすり替えたのです。
そして、引き続き被験者に試食してもらいながら、
「なぜこの味を選んだんですか?」と研究者が質問します。
すると、興味深い現象が起こりました。
なんと、過半数以上の被験者は
中身がすり替わっていると気づかなかったのです。
つまり、自分が選んでもいないお茶とジャムを口にしながら
「なぜこの味が美味しいと思ったのか」を
被験者は説明し始めました。
中にはシナモン・アップル味が
ブルーベリー味にすり替わっていた被験者もいました。
にもかかわらず、すり替えに気づかないまま
「いかにブルーベリーが美味しいか」
という後付けの回答をでっちあげたのです。
このように選択とちがう結果が起きても
本人が気づけない現象を
「チョイス・ブランドネス(選択盲)」と呼びます。
チョイス・ブラインドネスの実験からわかるのは、
お客さんへのアンケートやヒアリングが
万能ではないという現実です。
悪気がなくても後付けの回答をでっちあげて
語ることが人間にはよくあるのです。
そのため、ビジネスでお客さんにリサーチするときは
こうした心理現象を踏まえておく必要があります。
心理学的な観点を考慮せずにヒアリングしても、
まとはずれな回答が返ってきて
むしろマーケティングの改悪につながってしまいます。
相馬一進