こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
世の中には、ごく少数の人の意見が
マーケティングに活用できた事例があります。
たとえば、マックス株式会社は、
針のふくらみがないホチキスを販売しています。
この商品は「ホチキスで留めると書類がかさばる」
という、ごく少数のお客さんからの苦情から
商品開発が始まったそうです。
これは少数意見をマーケティングに反映して
ヒット商品を生み出せた成功例だと言えるでしょう。
ですが、注意したほうがいいのは
このように少数意見がマーケティングに活かせる事例は
さほど多くはないということです。
むしろ、少数意見に振り回されて、
むしろ売上が下がってしまう場合もあります。
いわゆる「ノイジー・マイノリティ」の問題です。
おそらくあなたも知っていると思いますが、
「ノイジー・マイノリティ」とは、
「声高な少数派」を意味します。
電話、メール、対面、SNSなど様々な手段で、
苦情などを伝えてくる数少ないお客さんです。
この対義語は「サイレント・マジョリティ」で、
「物言わぬ多数派」を意味します。
つまり、とくに苦情も言わなければ、
感謝の言葉も伝えてこない人が多数派だということです。
そのため、少数意見を聞きすぎると、
大多数のお客さんの感覚とは
ズレた判断になってしまう場合もよくあります。
では、少数意見を取り入れて失敗する場合と、
少数意見を取り入れて成功する場合には、
どのようなちがいがあるかわかりますか?
私が思うに少数意見をマーケティングに活かせるのは、
次の2つのパターンです。
1つ目のパターンは、その少数意見が
多数派の意見を代弁していた場合です。
たとえば、冒頭の「ホチキスで書類がかさばる」
という不満は、事務作業をする多くの人が
無意識に感じていたことでしょう。
ですが、ほとんどの人はサイレントマジョリティなので
わざわざ事務用品のメーカーに電話をしたり、
要望のメールを書いたりはしません。
少数派の意見が、実質は多数派の意見でもあったのです。
このように多数派の意見を
一部の少数派が伝えてくれていた場合は、
有益だと言えるでしょう。
少数意見が活用できる2つ目のパターンは、
単価の高い商品を売る場合です。
冠婚葬祭、住宅購入、美容整形などは
数百万円以上の単価になることがあります。
あるいは、法人向けの長期契約などであれば
数千万円~数十億円単位になる場合も珍しくありません。
こういった単価の高い商品は、
1件売れるだけでも十分な売上になります。
そのため、少数意見を取り入れて
ごく少数の人に売るだけでもビジネスが成り立つのです。
まとめると、次の2つに当てはまる場合は、
少数意見に耳を傾けてもいいでしょう。
1.多数派の意見を少数派が代弁している場合
2.少数派に売れるだけでビジネスが成り立つほど
単価の高い商品を売る場合
言い換えると、上記の条件に当てはまらない場合は、
少数意見に振り回されてはいけません。
少数派にあわせてマーケティングを改善すると、
多数派のお客さんにとっては改悪になるからです。
相馬一進