こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
世の中では「何かを続けること」ばかりが賛美されがちです。
自己啓発本の見出しでもJ-POPの歌詞でも
「ネバー・ギブ・アップ」とか「あきらめない」
といった言葉がよく登場しています。
たしかに、コツコツと努力を継続するのは
結果を出す上で重要だと私も考えています。
ですが、ビジネスにおいて「継続」より重要なのは「撤退」です。
なぜなら、撤退の判断ができないと、
結果が出ないにもかかわらず、
お金、時間、エネルギーを消耗し続けてしまうからです。
そのため、まともな起業家であれば、
挑戦の際に必ず撤退ラインを決めています。
「継続」の判断は二流でもできるが、
「撤退」の判断は一流でないとできません。
たとえば、サーバーエージェントの藤田晋社長は、
撤退ラインについて次のように語っていました。
「リリース後4か月経過した時点で、
コミュニティなら300万PV/月、
ゲームなら1000万円/月を超えていなければ撤退検討」
(これは2013年当時に発表していた撤退ラインです。)
売上、閲覧者数、期間などを
かなり具体的に決めていることがわかるでしょう。
こうした撤退ラインを決めたほうがいい理由は、
人間は結果が出ないときほど、
その活動を続けたくなってしまうからです。
これを心理学ではサンクコスト効果と呼びます。
投資したお金、時間、エネルギーを
「なんとかして取り戻したい」という心理になるのです。
まるで負けているギャンブルをやめられないように、
後に引けない気持ちになってしまうわけですね。
また、チームとして活動している場合は、
先に撤退ラインについて合意をとっているほうが
意思決定がしやすくなります。
後から撤退について議論をすると、
その人の立場によって考え方がちがって
対立しやすくなるからです。
こうした理由があるため、意思決定の上手な人は
必ず撤退ラインを決めた上で挑戦をしています。
そして、上手くいかなかった場合は、
事前に決めたとおりに損切りしているのです。
ユニクロによる野菜販売の終了や、
アマゾンのスマホ開発の停止など、
有名企業も多くの事業から撤退しています。
撤退は聡明な判断の1つなので、
何かの挑戦をする場合は
あなたも撤退ラインを決めておいてください。
相馬一進