こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
メンタルの不安定な人は
「私はずっと道徳的でなければいけない」
と信じ込んでいる場合があります。
そのため、少しでも非道徳的な考えが思い浮かぶと
「私はダメな人間だ」と自己否定してしまうのです。
ですが、心理学的に言うと
そのように自己否定する必要はありません。
なぜなら、すべての人間は道徳的な面と非道徳的な面を
合わせ持っているのが当たり前だからです。
それを示唆している根拠の1つが、
心理学者ブノワ・モナンが
2001年に発表した論文の実験です。
この実験では、面接官になったつもりで
被験者に他人を評価してもらいました。
その際、一般的に差別を受けやすい人種の方などが
評価対象には混じっていました。
それで、興味深いのはここからです。
面接後に被験者にアンケートを取ったところ
ある現象が起きました。
それは「面接中に道徳的に振る舞っていた被験者ほど、
アンケートでは人種差別的な発言が増えた」
ということです。
意味、わかりますか?
つまり、面接で道徳心を使い果たしたかのように
面接後から被験者は非道徳的になったのです。
というのも、面接のときに被験者は
「人種差別をしないようにしよう」と
道徳的に振る舞う必要がありました。
実際、ほとんどの被験者が差別をせずに、
自分を律して公正に評価をしたようです。
だからこそ、面接で疲れてしまった被験者は
その後に反動で差別的になったと考えられます。
この現象についてブノワ・モナンは
「道徳心は貯金残高のように減るようだ」
と指摘しています。
お金を使うと貯金残高の数字が減りますよね?
それと同じように、道徳心の残高も
使うと減ってしまうというのです。
ですから、あなたも自分や他人の中に
非道徳的な部分を見つけても
過剰に責める必要はありません。
どんな人間にも道徳心の貯金があり、
残高に余裕がないときは非道徳的になってしまうのです。