こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
心理学用語に
「生存者バイアス」という言葉があります。
生存者バイアスとは、
「生き残った事例だけを見て物事を判断してしまう」
という人間の思い込みのことです。
たとえば、大災害の生存者たちに
あなたがインタビューをしたとします。
その生存者の多くが
「ポジティブに考えたら生き残れた」と
共通して言っていたとしましょう。
それを聞いて「ポジティブだと生き残れるんだ!」
とあなたが鵜呑みにしてしまうのが、
典型的な生存者バイアスだと言えます。
この例のどこがおかしいのか、わかりますよね?
それは、「ポジティブに考えても、
亡くなった人が大勢いたかもしれない」
という点です。
亡くなった人には、
誰もインタビューができません。
そのため、生き残った人ばかりの話を聞いて、
偏った視点で判断をしてしまいがちです。
こうした例が転じて、命には影響しない場合も
「生き残った事例だけで判断してしまう思い込み」を
生存者バイアスと呼ぶようになりました。
たとえば、次のような生存者バイアスで、
判断を見誤るケースが多いでしょう。
・業界の成功企業ばかりのデータを見る
(失敗して倒産した企業のデータを見ていない)
・夢を叶えたアーティストの体験談だけを見る
(挫折して辞めた人を見ていない)
・投資に成功した事例だけを参考にする
(破産した事例を見ていない)
・アンケート回答者の意見だけを聞く
(アンケートに未回答の人を考慮しない)
・長年健康な人の生活をマネする
(病気になった人の事例を調べていない)
こうした生存者バイアスは、
頭のいい人もおちいりやすいバイアスです。
なぜなら、その場から消えてしまった
人や企業のデータを取るのは難易度が高いからです。
とはいえ、生存者バイアスの概念を知っていると
「おや、この判断は間違っているかもしれない」
と気づきやすくはなります。
ビジネスの意思決定のときなどには、
生存者バイアスに気をつけてみてください。
私自身、マーケティングをおこなうときには、
アンケートに未回答の人も考慮するなど、
生存者バイアスに注意してきました。
また、生存者バイアスを考慮して、
失敗した会社の事例なども踏まえて
講座の参加者に伝える内容も決めています。
こうした視点のないマーケターやコンサルタントは、
偏った事例ばかりを話しているので、
鵜呑みにしないようにしてください。