こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
先日、こんなことを言っている人がいました。
「私はコンサルティングをしているのですが、 それがつらくなってきました。 なぜかというと、クライアントに“正解”と言える アドバイスをするために、自分の興味がない分野まで 勉強しなくてはいけないからです。 それに、どこまで勉強を続けても “正解”となるアドバイスができるようになりません。 稼げてはいるのですが、苦痛で仕方がないのです、 どうしたらいいでしょう?」
これを聞いて私が思ったのは、
「この方の考え方では、そりゃあつらいだろうな」
ということでした。
というのも、この方は自分のクライアントに
“正解”のアドバイスをしようとしています。
ですが、この世界は1分1秒と変化しているので
完璧な“正解”を見つけることは不可能です。
不可能を追い求めているのですから、
ビジネスが苦痛になるのは当然でしょう。
それで、私がこの方に提案したのは
「セッションを化学反応だと思ってはどうか」
ということでした。
※ここでいう「セッション」とは、
直接会話ができる形式で、時間をとっておこなう
いわゆる「相談業務」のことです。
どういうことかというと、
たとえば「水素(H)」と「酸素(O)」は、
化学反応をすると「水(H2O)」になりますよね。
それと同じように、コンサルタントとクライアントが
協力し合って、化学反応で新しい答えを出すと
考えたらいいということです。
もしクライアントが「水(H2O)」をほしがっていても
別にあなたが「水(H2O)」を提供する必要はない。
「水素(H)」と「酸素(O)」のどちらかの
役割ができれば十分なのです。
たとえば、あるコンサルタントが
飲食店の集客を支援するとします。
その場合、コンサルタントが、
いきなり店長に“正解”を伝えることはできません。
なぜなら、コンサルタントは料理人ではないので、
調理方法や仕入先の知識はないからです。
一方、その飲食店の店長も、
コンサルタントに相談するくらいですから
マーケティングにうとい方でしょう。
つまり、店長1人では売上を伸ばせないし、
コンサルタント1人でも、解決策はわからない。
このように、セッションは
2人とも“正解”がわからない状態から
スタートするのが当たり前です。
ただ、2人が協力して知識を合わせていくと、
化学反応が起きていきます。
相馬「このマーケティングはどうですか?」
顧客「いや、それはウチのメニューではできないけど、
別のやり方ならできるかもしれません」
相馬「だったら、こういった方法は使えませんか?」
顧客「おお、それなら、できそうだ!」
このように、意見を出し合っていくことで、
1人ではたどり着けなかった答えが見えていくのです。
これは、コンサルタントだけには限りません。
カウンセラーやセラピスト、コーチなどの
個人セッションをする業種には、大方当てはまる話でしょう。
もっと言えば、広く営業や交渉などでも
似たようなことが言えかもしれません。
あなたがお客さんに“正解”を手渡す必要はなく、
お客さんと一緒に、探していけばいいということです。
こういった考え方をしていると、
セッションをしているのが楽しくなります。
自分が自然体で関わっているだけで
お互いに豊かになっていくことができるからです。
逆に「“正解”を伝えなければ」と思っている限り
プレッシャーでビジネスが嫌になっていくでしょう。
実際、“正解”の提供にこだわる人は
自分のサービスの単価が上げられなくて、
低賃金で長時間労働していることがよくあります。
その考え方が変わらない限り、苦労し続けるでしょうね。
これは、ビジネスではなくメンタルの問題なので、
心理学の知識のある人から、
フィードバックをもらい続けてほしいと思います。
ちなみに、「セッションは化学反応」という表現も、
私はクライアントと話している中で
たまたま見つけることができました。
私自身も、お客さんとの「化学反応」によって
コンサルティングをしているということです。