こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
メンタル改善のために心理学を学びはじめた人が
見落としがちなことがあります。
それは「心理療法にも自分に合う・合わないがある」
ということです。
たとえば、有名な心理療法として
「認知行動療法」というものがあります。
詳しい方法は割愛しますが、
これは主に、自分の思考や感情などを紙に書いて
振り返りをする心理療法です。
この「認知行動療法」は、非常に効果が高いことが
エビデンスの上でも裏付けられています。
全世界で多くの人が、「認知行動療法」によって
メンタル改善に成功しています。
しかし、誰にでも等しく効果が出るわけではありません。
なぜなら、文章の執筆や分析が苦手だと、
ワークを続けられないからです。
というのも「認知行動療法」は、
自分の気持ちを言葉にして、客観的に振り返ることが
前提になっています。
ゆえに、言語化や客観視が
苦手な人にとっては、効果が期待できないのです。
実際、私の講座の参加者の中にも、
ワークの中でまとはずれなことばかり
書いてしまう方が、一定数存在します。
たとえば、「自分の感情を書く記入欄」に
「親とケンカした」などと書いてしまう方がいます。
本来、「感情を書く記入欄」では、
文字通り「怒り、不安」などの感情を書くのですが、
それがうまくできないのです。
単にカン違いしているだけの方は
1回指摘すれば次から直りますが、
何度言っても理解できない方もいます。
ただ、こういった方がいるのも
仕方がありません。
なぜなら、世の中には、遺伝的に
どうしても読み書きが苦手な人がいるからです。
それこそ「ディスレクシア(失読症)」といって
知能は高くても、文章の読解ができないという
障害を持つ人もいるほどです。
あるいは、読み書きができたとしても、
客観的な分析が不得意な人は多くいます。
こういった人たちは、ハッキリ言って
「認知行動療法」のワークが合いません。
人間は苦手なことをコツコツと続けられませんし、
仮に無理矢理に取り組んだとしても
大きな変化は期待できないからです。
ですから、私は講座の参加者の方に
例外として別の方法を提案することがあります。
合わない人は、無理をせずに
他の心理療法に切り替えた方がいいためです。
世界には、身体を動かしたり、
絵を描いたりするような
多様な心理療法が考案されています。
一般論として効果が低い心理療法だとしても、
その人にとって最適だということが
場合によってはあり得るのです。
そのため、まずはエビデンスの上で
効果が高いものを試し、合わなかったら
スパッと他のやり方に変えてほしいと思います。
これは、「認知行動療法」に限らず、
いろいろな分野において言えることです。
こういった視点を持っている人は
専門家の中にも一握りしかいません。
1つの方法を押しつけたり、個人差を考慮せずに
一般論を盲信してしまう指導者が、本当に多い。
そういった人から学んでも、
ろくに人生は変わりません。
それどころか、
「なぜ他の人はできるのに自分はできないんだ……」
と、劣等感ばかり味わう結果になるのです。
そういった苦労をしないように、何かを学ぶときは、
ぜひ「あなたに合った方法」を提案してくれる人から
フィードバックを受けてください。