こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
あなたは、電気設備の部品を製造している
未来工業という会社をご存知ですか?
テレビなどでも度々取り上げられる
手厚い福利厚生で有名の会社ですが、
その会社が成功した本当の理由が分かりますか?
ご存知の人も多いと思いますが、
未来工業とはこんな会社です。
・営業のノルマはない
・残業もない
・従業員は全員が正社員
・改善案を出すだけで500円支給、良い提案なら最高3万円支給
・5年に一度、会社が全額負担して海外への社員旅行
・年間休暇は140日(有給休暇のぞく)
・社員旅行でクイズ50問に正解すると半年間の有給休暇
・育児休暇は3年
・社員の平均年収は600万円
この福利厚生は日本トップクラスですよね?
それで、マーケティングの本質を分かっていない経営者ほど
こういった会社の福利厚生制度ををマネしようとします。
マネをしたら、自分の会社の業績も上がるだろうという
まったく論理的でない思考をしてしまうのです。
残念ながら、この未来工業という会社が成功しているのは
福利厚生のおかげではありません。
本当の理由は、「市場シェアでトップになったから」です。
最初に書いたように、未来工業というのは
大企業が参入してこないような
電気設備の部品を作っている企業です。
そして、未来工業はこの市場で業界シェア1位なのです。
こうして、市場シェアでトップになると、
価格決定権を持てたり、量産効果で原価を下げられたり、
色々な理由で業界2位に比べて利益率がグンと高くなります。
マーケティングの専門用語で
「ランチェスターの法則」というのですが、
市場シェアでトップの企業は、2位に比べて何倍も儲かるのです。
ご参考:3分でランチェスター戦略が早わかり! 事例や本も紹介!
こういった背景があって、
未来工業は極めて高い利益が出ているので
福利厚生にお金をかけられる、というわけです。
Googleと同じですね。
Googleも福利厚生が手厚いことで有名ですが、
あれも検索連動型広告の市場シェアでトップなので、
福利厚生に莫大なお金をかけられるのです。
意味がわかりますか?
市場シェアでトップになったから
福利厚生にお金をかけられるのであって、
福利厚生にお金をかけた結果、
市場シェアでトップになれたわけではありません。
因果関係を逆にとらえないでくださいね。
そして、市場シェアでトップになった後は、
福利厚生のことばかりを世の中にPRするわけです。
そうすると、多くの同業他社は
未来工業の福利厚生の制度ばかりを真似するので
いつまで経っても追いつけないのです。
市場シェアでトップを取れていない場合、
利益率が極めて低くなりますから、
福利厚生にお金をかけてしまったら倒産します。
そうして他の企業が倒産したら、
未来工業は、その会社が抱えていた市場シェアをさらに取れます。
すると、市場シェアがさらに大きくなり、
利益率がさらに高くなります。
未来工業が福利厚生の手厚さをアピールするのは
「同業他社を倒産させるための罠」であって、
それが成功している本質ではありません。
マーケティングの本質を理解していないと、
ビジネスで結果が出ることはないという典型ですね。
こうしたマーケティングの本質を知りたい人は
ぜひ私の講座へお越しください。
表面的なテクニックにしか着目できない人は
苦労をしても地獄を見るのが世の常ですので。