こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
他人に何かのフィードバック(助言)するときに
重要なポイントがあります。
それは、「細部まで具体的にフィードバックする」
ということです。
たとえば、文章の読みやすさについて
あなたが誰かにフィードバックする場合、
次のように言うといいでしょう。
「『然し』とか『更に』などの接続詞が、
漢字になっていると読みにくく感じます。
『しかし』『さらに』といったように
漢字をひらく(ひらがなにする)ほうが
読みやすくなりますよ」
このように伝えると、どう修正したらいいのか
学ぶ側もわかりやすいですよね。
言い換えると、「ダメな文章ですね」とか
「なんか読みにくいです」とだけフィードバックしても
あまり学習者のスキルは伸びません。
これは、1932年に心理学者のトゥロブリッジと
ケーソンがおこなった実験でも示唆されています。
この研究では、
「ものさしを使わずに、指定の長さの直線を描きなさい」
と被験者に指示しました。
そして、被験者を4つのグループにわけて
次のようにフィードバックします。
グループ1:
描いた直線の長さが目標と何インチずれていたかを
細部までフィードバックする
グループ2:
誤差が8分の1インチ以内なら「正解」、
それ以上なら「不正解」とだけフィードバックする
グループ3
何もフィードバックしない
グループ4:
結果と無関係なフィードバックをする
これを何度か繰り返して、指定の直線を
どのグループが上手く描けるようになるか検証したのです。
この結果は明らかで、
細部までフィードバックを受けたグループ1が
最も好成績になりました。
興味深いのが、「正解」と「不正解」だけの
フィードバックを受けたグループ2です。
グループ2の成績はグループ3よりも
わずかに高い程度だったのです。
つまり、何もフィードバックを受けないよりは
マシだったのですが、「正解」「不正解」の指摘だけでは
あまり上達しなかったと言えます。
この実験からもわかるのは、フィードバックするなら
細部まで伝えるのが重要だということです。
ですから、あなたが誰かを指導する場合は、
細部まで具体的にフィードバックしてください。
また、あなたが何かを学ぶ場合も
細部までフィードバックをしてくれる環境に
身をおいたほうがいいでしょう。
楽器を習うのであれば
「一小節の終わりが半音ずれていますね」
などと、細かく指導されるとよく上達します。
逆に「素晴らしいですね」とか「ダメですね」
といった大雑把なフィードバックは
あまり効果がありません。
大雑把なフィードバックばかりする
教え下手な講師からは離れるのがおすすめです。
相馬一進