こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
ダニエル・カーネマンという
ノーベル経済学賞を受賞した認知心理学者がいます。
彼が書いたかなりぶ厚い本で、
『ファスト&スロー』という名著がありますが、
こちらはご存知ですか?
この本で、彼は、私たち人間が
2つの思考を使っていることを説明しています。
その2つの思考とはすなわち、下記のこと。
ファスト(速い思考)=直感的・感情的な思考
スロー(遅い思考)=論理的・理性的な思考
そして、彼はこの2つの思考について、
上下巻にわたって延々と解説し続けているので
その細かい具体例はここでは割愛します(笑)。
さて、ここからが本題です。
以前私がお話した女性は、とても論理的だった一方で、
「私にはクリエイティビティが足りない」
といった悩みをお持ちでした。
しかし、賢明なあなたなら気づくでしょう。
論理力とクリエイティビティは
同時に鍛えるのがむずかしいトレードオフな
能力であることに。
その理由は上に書いたとおりで、
論理力とはスローであり、
クリエイティビティとはファストだからです。
ファスト(速い思考)=直感的・感情的な思考
スロー(遅い思考)=論理的・理性的な思考
完全なトレードオフなわけではありませんが、
論理力とクリエイティビティは
そもそもまったく違う思考なのです。
その女性は自分に対して
こんな「べき論(人生脚本)」を持っているようでした。
・私は完璧でなければいけない
・私は論理的でなければいけない
・話すときは論理的に話すべきだ
その結果、彼女は常にスローな思考を使うことを
自分に課していたのです。
論理的・理性的な思考をいつもしていれば、
直感的・感情的な思考をする頻度が減るので
クリエイティビティになれるわけがありません。
そこで、私が彼女に対してやったことは
上記の3つの「べき論(人生脚本)」を
手放すような心理療法でした。
すると、彼女は劇的に変わりました。
クリエイティビティを使った方がいい状況では
ファスト(速い思考)=直感的・感情的な思考を、
論理力を使った方がいい状況では
スロー(遅い思考)=論理的・理性的な思考を、
それぞれ自在に使い分けできるようになりました。
なお、こうした悩みは、私の文章で読んだだけでは
絶対に改善しません(笑)。
ですので、最近やたらと増えている
レベルの低いにわかコーチではなく(笑)、
心理職の専門家の力をぜひ借りてくださいね。