こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
多くのビジネスの場で続いている悪しき慣習があります。
それが「ブレスト」です。
知ってのとおり、「ブレスト」とは、
「ブレインストーミング」の略称を指します。
直訳すると「脳の嵐」ですが、
一般的には大人数でアイデア出しをする会議のことです。
ちまたには様々なブレストの手法が出回っていますが、
「大勢で集まって、批判せずにアイデアを出す」
といったやり方が共通点でしょう。
このやり方を広めた源流は
創造的思考について書籍『How To Think Up』の著者
アレックス・F.オズボーンです。
しかし、この有名なブレストのやり方は、
生産性が低いという事実がすで判明しています。
たとえば、2019年のシカゴ大学で
ブレストの人数とアイデアの関係を調べる研究を
ウー・リンフェイらがおこなっています。
この研究では、4,200万件の論文、500万件の特許情報、
1,600万件ソフトウエアプロジェクトという
膨大なデータを精査しました。
そして、それらのプロジェクトに関わった人数と
オリジナリティのあるアイディアの出やすさとの
相関関係を調べたのです。
その結果として判明したのは、
「少人数で考えたほうが、より質の高いアイデアが
数多く出ている」ということでした。
つまり、数十人でブレストするより
1人でアイデア出しをしたほうが
はるかに生産性が高かったわけです。
これは私の個人的な感覚とも一致します。
大勢で会議室に集まって、
ホワイトボードにアイデアを書いてみたところで
大した案は出てきません。
おそらく周りに人がいると集中できなかったり、
人目が気になって自由な発言が減るからでしょう。
あるいは、「自分が頑張らなくても
他の人がアイデアを出すだろう」と、
他力本願の気持ちになってしまうのかもしれません。
いずれにしても多くの参加者が無難なアイデアを出して
お茶を濁すような場になりがちなのです。
ですから、アイデア出しをしたいときに、
「ブレストをしましょう」と呼びかけるのは、
悪しき慣習だと言えます。
さて、ここまで読んでみて、あなたはどう思いましたか?
もしかすると、
「なるほど、ブレストをやめたら生産性が上がるんだ」
と思ったかもしれません。
そう思ったとしたら、
重要な視点が抜けているので注意してください。
なぜなら、たしかにブレストは良くない方法なのですが、
単に止めるだけでは生産性が上がらないからです。
意味、わかりますか?
「生産性の低いこと」をやめても、
「生産性を高めること」には直結しないのです。
たとえば、ある会社で新商品開発のアイデアがないときに
毎回ブレストをしていたとします。
その会社でブレストを中止するだけで、
良質なアイデアが生まれると思いますか?
もちろん、そんなわけはありません。
では、どうすればいいのか?
今回は長くなったので、
続きは次回の記事で書こうと思います。
相馬一進