こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
「私も努力してうまくいったんだから、
あなたも努力さえすればうまくいくはずだ。
努力が足りないからうまくいかないんだ」
インターネット上では、
このような主張している人がときどきいます。
とくに若くして成功したインフルエンサーが、
こういった発言をしがちでしょう。
実を言うと、昔は私もこれに近い価値観でした。
「結果が出ない人は努力不足」と思っていたのです。
ですが、今ではこういった考え方は傲慢だと考えています。
なぜなら、成功には運も関係しており、
前述のような発言をする成功者も
運が良かった面が大きいからです。
というのも、大きな結果が出せるかどうかは
時代と才能が一致するかどうかで決まります。
たとえば、弥生時代以前の世界では
狩猟採集の才能がある人が強者でした。
つまり、体力があり狩りやケンカが得意で、
病気になりにくいような人ですね。
狩りができないと食べていけませんし、
医師も警察も存在しない世界なので、
体力が最優先なのは当然でしょう。
言い換えると、計算したり言葉を使ったりする才能は
そこまで評価されなかった可能性があります。
少なくとも、病弱な賢者よりは
体力バカのほうがずっと社会地位が高かったはずです。
一方、現代の先進諸国では、
体力バカの社会的地位が低くなりました。
狩りは必要ありませんし、
ケンカをすると暴行事件で逮捕されるだけだからです。
また、ある程度の病気や障害であれば
医療技術で治せるようになってきたので
体力がすべてではなくなりました。
代わりに重視されるようになったのが、
IQ、言語能力、数学能力といった3つの才能です。
私はこれらを「三種の神器」と呼んでいますが、
この3つの才能があるだけで
ビジネスで成功しやすくなります。
例をあげると、プログラマーになるにしても、
ユーチューバーになるにしても、
「三種の神器」があると結果が出るのは想像できますよね。
さて、いずれにしても言えるのは、
自分の才能と時代が一致すると
人生がイージーモードになるということです。
現代ではIQ、言語能力、数学能力といった
「三種の神器」を持って生まれた人が
成功者になりやすいのです。
もしも狩猟採集の世界に生まれていたら、
「三種の神器」があっても活躍できないどころか
すぐに死んでいたかもしれません。
人類史のうちの大部分は狩猟採集の世界だったので、
現代に生まれたのは奇跡的な幸運だと言えます。
この「三種の神器」も
体力と同じように遺伝的な才能が関係するため
本人の努力だけでは手に入りません。
これは、行動遺伝学の研究ですでに判明している事実です。
もちろん、現代社会の成功者も努力はしているでしょう。
ただ、その努力すらも本人の意思と関係のない
運の要素で左右されています。
たとえば、誠実性(コツコツと努力ができる性格)は
遺伝的な要因で半分くらいは決まります。
あるいは、若くして強みを見つけられるかどうかは、
幼少期の環境が関係しており、
本人というより保護者のおかげです。
にもかかわらず、傲慢なインフルエンサーは
こうした視点がありません。
そのため「努力してないからうまくいかないんだ」
といった発言をしてしまうのでしょう。
誤解してほしくないのですが、
努力は素晴らしいことだと私も思います。
ですが、努力だけでは説明がつなかい要因で
成功のしやすさが変わるのもまた事実なのです。
そのため、もしあなたが現時点で
社会的にそこまで成功していなかったとしても、
必要以上に自己否定しないでほしいと私は思います。
おそらくあなたもあなたなりに努力をしてきたでしょう。
これからも人生を豊かにできるように、
あなたなりに努力していってください。
あるいは、あなたがすでに成功している場合は、
成功していない人を「努力不足だ」などと
バカにしないでほしいと思います。
前述のとおり、時代と才能が一致するかは
運の要素が関係するのです。
すべてが自分の努力のおかげだと信じ込むのは、
思い上がりに過ぎません。
相馬一進