こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
前回のメールで、
「企業理念の言い回しだけをこねくり回しても
ムダになることが多い」ということを書きました。
たとえば、企業理念の一節を「本質を広める」から
「本質を伝える」に変えたとします。
ただ、この一言のちがい“だけ”では、
仲間の行動もお客さんの反応も
ほとんど変わらないでしょう。
そのため、こだわるだけ時間のムダになってしまうのです。
しかし、こうした言い回しの調節が
すべてムダなわけではなく、
現実に大きな変化をもたらす場合もあります。
では、どういう場合なら言い回しの調節が役に立つのか?
それは、
「“論理知”だけではなく“感覚知”をともなう場合」です。
ここで言う“感覚知”とは、
人が体験で得られる感覚的な知識を指します。
一方、“論理知”とは、
本などで得られる文章や数字の知識です。
この“感覚知”と“論理知”が2つセットになるなら、
言い回しの調節にも意味があるのです。
具体例をあげます。
たとえば、あなたが仲間と海外旅行に行って、
現地の外国人に言葉が通じない体験をしたとします。
身振り手振りで必死に伝えようとしても、
食事の注文もできないしトイレを探すにも苦労する。
けれど、数日の間にコミュニケーションが上達し、
少しは現地の人と意思疎通ができるようになったとします。
その旅行をとおして、
「自分の考えを他人に“伝える”っていうのは、
本当に大事なことだなあ」
と、しみじみ実感した。
そんな体験を仲間に共有したとしましょう。
この体験をふまえて理念の一節を
「広める」から「伝える」に書き変えるというのは、
とても意味のあることです。
なぜなら、「伝える」という言葉に
多くの仲間の“感覚知”が乗っているからです。
つまり、辞書的な意味の“論理知”だけではなく、
体験をともなう“感覚知”を仲間と共有しているため、
理念への思い入れが深くなります。
そのため、仕事へにやりがいを感じて
情熱を持って行動しやすくなるでしょう。
また、海外での体験をふまえた変更なので、
海外向けの企画をはじめるなど、
新しいプロジェクトもはじまるかもしれません。
このように同じ言い回しの調節でも
“感覚知”のある場合と“論理知”しかない場合では、
意味合いが全くちがいます。
あなたも理念の言い回しを調節するときは、
“感覚知”もふまえておこなうようにしてください。
なぜなら、“論理知”しかない場合、
言い回しを変えてもただの言葉遊びになるからです。