こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
「人間は遺伝の影響を大きく受ける」
ということを私は繰り返し話しています。
すると、次のような質問がときどき来ます。
「遺伝の影響が大きいということは、
歌が下手な親から生まれた私は、
音楽の才能がないのでしょうか?」
「遺伝の影響を受けるのに
兄弟で特徴がちがうのはなぜですか?」
「私は親と似ていないので、遺伝的な特徴も
努力で変えられるのではありませんか?」
こうした質問をしている方は、
遺伝の意味を誤解しているようです。
そこで今回は遺伝について解説していきます。
まず重要なポイントとして、
遺伝は「親と子供が同じになる現象」ではありません。
親と子供の特徴がちがうことはよくありますし、
それも含めて遺伝なのです。
これは、血液型で考えてみると理解しやすいでしょう。
たとえば、血液型がAO(A型)の女性と、
AO(A型)の男性の間に子供が生まれるとします。
その場合、子供の血液型は
何型になる可能性があるでしょうか?
中学校の理科の授業を思い出してほしいのですが、
AA、AO、OOのうちどれかになるはずですよね。
つまり、子供はA型かO型になります。
ここで注目してほしいのは、
A型の両親からO型の子供が生まれる可能性がある点です。
A型同士が子供を作ったからといって
必ずしもA型になるわけではなく、
O型になる場合もあるのです。
「両親ではなくおばあちゃんと同じ血液型だった」
といったケースがあるのはこうした理由だと言えます。
かといって、無限の可能性があるわけではありません。
A型の両親2人にはB型の遺伝子がないので、
B型やAB型になることは100%ないのです。
もしB型やAB型が生まれたとしたら
母親が浮気している可能性があります(笑)。
また、何型に生まれたとしても、
子供の血液型を変えることは不可能。
「O型の子供をA型に変えたい」と思っても
絶対にできないわけです。
これはあくまで血液型の例ですが、
他の才能にも似たことが言えます。
・母親と父親の遺伝子を組み合わせたものが
子供の遺伝子になるので、
親と同じ特徴になるわけではない
・祖父母以前の先祖の遺伝的な特徴が
子供に表れる場合もある
・いずれにしても、生まれてから
本人の遺伝的な特徴を変えることはできない
まとめると上記のようになるので
遺伝が「親と同じになる」という意味だと
誤解しないでください。
冒頭の質問に回答すると、
歌が下手な親から音楽の才能のある子供が
生まれる場合もおそらくあります。
また、兄弟や姉妹でも特徴がちがうのは
前述のとおり遺伝子の組み合わせが無数にあるからです。
何はともあれ、血液型を変えられないように、
絶対に変えられない生まれつきの特徴も
間違いなく存在するのです。
そのため、本人がいくら努力しても上達しない分野は
遺伝的に向いていないと考えて、
あきらめたほうがいいでしょう。
相馬一進