こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
世の中には、失敗を恐れる人がいる一方で
成功を恐れる人もいます。
つまり、何かの分野で結果が出そうになると、
逆に怖くなって行動をやめてしまう人です。
たとえば、せっかく成功者と一緒に
ビジネスをする機会ができたのに、
何かと言い訳して離れてしまう人がいます。
「家族が反対している」とか
「自分にできるか不安になった」とか
言い訳は多岐に渡るでしょう。
こういった「成功から逃げる心理」を
人間性心理学の権威アブラハム・マズローは、
「ヨナ・コンプレックス」と呼びました。
由来となった「ヨナ」とは、
神から使命を与えられたとされる旧約聖書の預言者です。
このヨナは偉大な使命を与えられたにも関わらず、
怖くなって船で海に逃げてしまいます。
そんな説話から命名した心理学の概念が
ヨナ・コンプレックスというわけです。
ヨナ・コンプレックスを提唱したマズローは
「自己実現」という考え方を説いた人物でもあります。
そのため「ヨナ・コンプレックスは、
自己の偉大さから逃げて自己実現を避ける心理だ」と、
マズロー自身は説明しました。
ただ、私の個人的な見解で言うと、
マズローの表現はややオーバーです。
なぜなら、必ずしも“自己の偉大さから逃げている”
わけではないと感じるからです。
“自己の偉大さ”云々というより、
単に生活の変化にビビっているケースや、
新しいことが怖いケースが多い気がします。
とはいえ、「失敗への恐怖だけではなく
成功にも恐怖を感じる」という指摘は、
示唆に富んでいるでしょう。
あなたも成功が近づいているにもかかわらず、
行動をやめたくなっているときは
ヨナ・コンプレックスを疑ってみてください。
ちなみに、旧約聖書のヨナは海に逃げ出した後で、
生きたまま魚に飲み込まれてしまいます。
そして、魚から吐き出されてから、
神からの使命を果たすための目的地ニネヴェへ
あらためて向かうのです。
これは「結局、使命には向き合うしかない運命にある」
という教訓になっているのでしょう。
私は運命論者ではありませんが、
「本当に重要なことからは逃れられない」
という意味では、この物語のとおりだと思います。
相馬一進