こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
「人間は、成長するにつれて心の境界線が変わる」
と私は考えています。
ここでいう「心の境界線」とは、
「自分と他人の思考、感情、身体、行動などを
ハッキリ区別すること」を指す心理学用語です。
つまり、「自分は◯◯だけど、他人は△△だ」と
切り離して捉えることを指します。
赤ん坊のうちは、
誰しもこうした心の境界線があいまいなのですが、
成人に近づくと明確になっていきます。
ところが、大人がさらに精神的に成熟すると、
今度は他人と自分とが統合されて、
またあいまいになっていくのです。
抽象的な説明だと理解しにくいので、
もう少し具体的に解説していきます。
まず、赤ん坊の頃は誰しも境界線があいまいです。
新生児は手足すらまともに動かないので、
「この身体は自分のものだ」という意識が薄いでしょう。
言い換えると「この布団は自分の肉体の一部ではない」
といった認識もないはずです。
世界のすべてがまるで、自分であり他人であるような
不確かな感覚で生きていると考えられます。
その後、幼児期になっても、
まだ境界線はハッキリしません。
「自分は楽しいけど、友達は不快なんだ」
といった認識ができなくて、
かんしゃくを起こしたり、ケンカしたりしがちです。
また、中高生くらいになっても
社会的な判断などで境界線が引けない子は
珍しくありません。
「自分は起業に興味があるけど、
親が望む公務員になったほうがいいだろうか?」
などと思い悩む時期があるわけです。
メンタルがダメダメな人は、
20歳になっても30歳になっても40歳になっても
境界線が引けません。
とはいえ、健全に成長できた場合は、
大人になると自他の間に境界線を引いて
「自分は自分。他人は他人」という意識になります。
重要なのはここからです。
大人がさらに精神的に成熟した場合、
実は境界線がまたあいまいになっていきます。
正確に言えば、自分と他人の区別はあるのですが、
自他を統合して世界を認識するようになるのです。
たとえば、「仕事仲間は自分の一部だ」とか
「妻(夫)の課題は自分の課題でもあると思う」
といった感覚がありますよね?
もっと言えば「地球温暖化などの環境問題は、
自分自身の問題でもある」といった考え方があります。
このように心の境界線が広がっていくのです。
注意してほしいのですが、
これは他人に依存的になるわけではありません。
自己啓発の名著『7つの習慣』には
「依存から自立、自立から相互依存へと成長する」
という考え方が登場します。
この『7つの習慣』の考え方のように、
自立を超えた相互依存へと境界線が広がるのです。
さて、今のあなたはどの段階ですか?
他人に依存してしまうような段階なら、
まずは境界線をハッキリさせて
自立を目指したほうがいいでしょう。
一方で、すでに自立できている場合は、
自他を統合して境界線を広げていく段階です。
こうした精神的な成長ができないと、
健全な人間関係が築きにくいので
ビジネスも頭打ちになってしまいます。