こんにちは。
相馬一進（そうまかずゆき）です。
これは、心理学や文化人類学などを学ぶまで
私も盲点だったのですが、
「世界には科学的な考え方をしている人々が
それほど多くない」
という現実があります。
自分の周りに知的な人が多いと、
「世界のほとんどの人は科学を信頼している」
と思い込んでしまいがちです。
私自身、心理学や文化人類学を学ぶまでは
そのように考えていました。
しかし、様々な知識が増えるにつれて
魔法や呪術を信じている人が
今でも多くいるとわかってきたのです。
たとえば、魔女狩りにまつわる事件が
現在でも起きているのをあなたは知っていますか？
知ってのとおり、魔女狩りと言えば、
魔女とされる人物を糾弾して迫害する行為です。
日本の中高生の世界史では、
中世のヨーロッパの出来事として習うでしょう。
ですが、現代においても魔女狩りは続いています。
これは比喩ではなく文字通りの意味です。
アメリカのニュースチャンネルCNNによると、
2016年のインドで「魔術を使った」
として殺害された人は134人もいました。
インド東部の農村地帯では魔術を信じる人がいて、
魔女とされる人物やその子どもたちが
今でも迫害を受けているのです。
他にも、アフリカ諸国では
アルビノ（先天性色素欠乏症）の人が
暴行を受けたり殺されたりする事件がよく起きています。
「アルビノはゼルゼルという霊体だ」と信じて、
アルビノの人の肉体を売買する人がいるためです。
アンダー・ザ・セイム・サンというNPOによると、
2015年頃までの過去15年間の被害者は
少なくとも378人だといいます。
魔女狩りやアルビノ差別ほど
おぞましい事件ではありませんが、
日本にも非科学的なものを好む人は多くいます。
たとえば、心理療法と占いの市場規模を比べると、
その傾向がわかります。
日本の心理カウンセリング市場は
約350億円と言われています。
この数字も十分に大きく感じるかもしれません。
ただ、占いの市場規模は
なんと1～2兆円以上と推定されています。
（これらの数字は東京大学大学院博士課程における
教育リーディングプログラムのレポートがソースです。
https://leading.ihs.c.u-tokyo.ac.jp/ja/schedule/reports/post/3_161124_cotree_01/）
どちらも「人間関係の相談」という点では同じなのに、
エビデンスのある心理学を習得したカウンセラーよりも
占い師を信じる人のほうがケタ違いに多いわけです。
これを読むあなたのような知性があると
こういった話は信じがたいかもしれません。
ですが、これが現実なのです。
だからこそ、
魔法、呪術、占いなどを信じる人の価値観も
知る必要があると私は感じています。
なぜなら、多くの人に自分の考えを伝えるには、
多くの人の価値観を知る必要があるからです。
どんなに正しい情報であっても
科学的なデータを羅列で
他人を説得することはあまりできません。
まどろっこしく感じても、
まずは相手を理解する必要があるのです。
