こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
私は以前、外国人講師のセミナー映像を翻訳して、
日本語の字幕をつけてDVD化する仕事をしたことがあります。
その時に感じたのは、自分の語彙力のなさです。
「教養とは語彙力である」とよく言われますが
これは真実だと思いますね。
つまり、私には教養がないとそのときに感じたのです。
そう感じたのは、その外国人講師が言った下記の名言に、
適切な日本語訳が見つからなかったからです。
「二人の囚人が同じ鉄格子から外を眺めた。
一人は泥を見た。一人は星を見た。」
Two men look out through the same bars:
one sees the mud, and one the stars.
これは、フレデリック・ラングブリッジという
アイルランドの詩人の名言です。
2人の囚人は同じ景色を見たにも関わらず、
1人は綺麗なものを見つけ、もう1人は汚いものを見つけた、
ということを言っています。
つまり、同じものでも見方次第だ、ということですね。
多くの日本人はこの名言を知らないため、
意味が似た日本語の表現で置き換えることにしたのです。
さて、動画に日本語字幕をつける場合、
字幕翻訳のルールとして1秒間あたり4文字しか
表示できないので、短く訳すことが求められます。
そこで私はこの英語の名言に対して
こんな日本語のことわざをあてました。
「アバタもエクボ」。
しかし、せっかくの意味深長な英語の名言を
普通のことわざにしか訳せない自分の語彙のなさに
がっかりしてしまいました(笑)。
翻訳者は英語力以上に日本語力が求められる、
とよく言われますが、本当にその通り。
私にはとうてい無理な仕事だと思いましたね。