こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
「人格が重要」といった趣旨のことを
強く伝えている自己啓発書で有名なものに
『7つの習慣』がありますね。
ただし、「人格を高めたくても
高められない人も世の中にはいる」ことも
覚えておきましょう。
行動遺伝学の研究によれば
人の性格は5割前後も遺伝で決まってしまうことが
わかっています。
行動遺伝学とは、ザックリと説明すると
全く同じDNAを持っている一卵性双生児と、
違うDNAを持っている二卵性双生児の比較研究です。
たとえば、反社会的な問題行動をするかどうかは
遺伝で6割以上決まることをご存知でしょうか?
また、マリファナの依存は6割が、
ギャンブル依存は5割が、喫煙は5割が、
それぞれ遺伝で決まることが分かっています。
ですが、情報弱者ほど、精神論が大好きで、
問題の主原因を「心」に押し付けようとします。
・強い精神があれば反社会的な行動をしないはずだ!
・マリファナに依存するのは心が弱いからだ!
・メンタルが強ければギャンブルに依存しないはずだ!
・心が弱いヤツが喫煙をする!
……といったことは大きな間違いなのです(笑)。
上記の原因のうち、少なくない割合が、
遺伝によって決まってしまうからです。
つまり、上記の問題の主原因はDNAであって、
「心」でも「人格」でもありません。
私が『7つの習慣』を宗教書であり、
ある種のイデオロギーを押し付けている本だと
感じる理由はそこにあります。
反社会的な行動や、何かに依存するかどうかは、
遺伝でほとんど決まってしまうということを
考慮していないからですね。
すなわち、世の中には人格者になろうとしても
先天的にそれがむずかしい人もいるのです。
ですから、人格主義の本質は理想主義であり、
現実主義から遠くはなれているわけです。