こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
先日、マーケティング・コンサルタントの
ジェイ・エイブラハムが最新刊を出しました。
『限界はあなたの頭の中にしかない』ジェイ・エイブラハム(著)
私も早速買ってみましたが、
正直、久しぶりに外した感がありますね。
ジェイの専門のマーケティング本ではなく、
なんと、自己啓発書です。(笑)
紀伊國屋や丸善など、主要書店の本店では
通常書籍の5倍の仕入れということですが……
かなり微妙です。
確かに、マーケティングの本よりも、
自己啓発の本の方が、読む人が3倍以上多いので、
売れることは売れるでしょうね。
しかし、売れる本が、必ずしも良い本でないのは事実。
ジェイが得意とするマーケティングの話は6~8章だけで、
他の章は自己啓発というより、ただの精神論ですから。
特に、一笑に付すのは、
「少しの改善でも掛け合わせると大きな成果となる」
という部分。
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(引用ここから)
各部門の10%の改善が、全社の全部門、
全プロセスで行なわれた場合、
その結果はたいへんな数字になるからです。
まだ信じられない方は、「1.1 × 1.1 × 1.1 ……」
というように、1.1を10回掛けてみてください。
(引用ここまで)
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私はこれを読んで目を疑いました。
こんなことが机上の空論であることは
日本を代表するトヨタ自動車が、
トヨタ生産方式で証明したはずです。
それも、今から何十年も前に。
「全部門を10%改善をしたからといって、
会社全体でみたら、必ずしも改善されるわけではない」
ということは、経営者であれば常識です。
ジェイは、エドワーズ・デミングから学んでおきながら、
トヨタの天才技術者、大野耐一(おおの・たいいち)氏の
実績を知らないのでしょうね。
ジェイに、自己啓発を期待した私が愚か者でした。
正直、恥ずかしい。
日本人は、舶来信仰にならず、
もっと日本の天才たちから学ぶべきだと感じます。
ということで、どうしても読みたい方は
6~8章だけ読めばいいと思います。
『限界はあなたの頭の中にしかない』ジェイ・エイブラハム(著)