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こんにちは。
相馬一進（そうまかずゆき）です。

ちまたで言われ尽くしているように
ビジネスが飛躍するにはイノベーションが重要です。

ただ、このイノベーションという言葉を
「技術革新」という意味だと誤解している人がときどきいます。

おそらく、不適切な翻訳をしている本や記事などで
誤って覚えてしまったのでしょう。

実際、1958年に政府の経済白書の中でも
イノベーションを「技術革新」と誤訳しており、
ここから誤解が広まったようです。

ですが、イノベーションは「技術革新」ではありません。

そもそも、イノベーションという言葉を提唱した
経済学者のヨーゼフ・シュンペーターによると、
イノベーションとは「社会に新しい価値をもたらす事象」です。

そのため、新しい技術ではなくても
新しい価値であればイノベーションだと言えます。

たとえば、
2006年に大ヒットしたゲーム機の「任天堂Wii」は、
イノベーションを起こした製品です。

リモコンを振ることで直感的に遊ぶことができて
今までゲームをしなかった層も多く買っていたためです。

全世界で累計販売台数が1億4千万台という
驚異的な人気になりました。

ただ、この振動を感知するリモコンは、
当時としてもさほど新しい技術ではありませんでした。

何年も前からある技術をゲームに組み込んで
新しい価値を生んだのがイノベーションだったのです。

反対に、技術的に新しくても
イノベーションにならなかった例もあります。

たとえば、2001年に発売された
電動立ち乗り二輪車の「セグウェイ」という製品がありました。

体重移動だけで車輪を操作できる
セグウェイの技術は画期的で、
専門家ほど高く評価していました。

ですが、20年かけても全世界で14万台しか売れず、
2020年に販売終了しています。

その理由は、ほとんどの人にとっては、
自転車や自動車のほうが便利だったためです。

つまり、セグウェイは技術革新であったものの、
新しい価値にはなっていなかったのです。

こうした事例からもわかるとおり
結局のところ起業家に重要なのは、
社会にとって新しい価値を生み出すことだと言えます。

技術革新をイノベーションだと誤解していると、
誰も求めていない商品・サービスになりかねないので
気をつけてください。

相馬一進