こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
前回の記事で、
音楽による「感情デザイン」について書きました。
音楽のボリュームや流すタイミングによって、
お客さんの感情を誘導できるという話でした。
それとも関係するのですが、
流す曲によって感情をデザインする方法もあります。
たとえば、アメリカの有名なコーチである
アンソニー・ロビンズのセミナーでよくかかるのは、
ハダウェイの『Life』という曲です。
この曲の歌詞は、
「人生は決して同じではない。人生は変化している」
という直接的なメッセージになっています。
こうした歌詞の繰り返しで
「人生は変えられる」メッセージを
より直感的に参加者に植え付けるのです。
もちろん、アンソニー・ロビンズのセミナーでは
実際の人生はあまり変わりません。
ですが、そんなポジティブな感情を作るために
音楽が一役買っているのです。
あるいは、著作権上の問題がない場合は、
映画やアニメの主題歌を流す方法もあります。
その作品のイメージを呼び起こして、
お客さんの感情をデザインできるからです。
たとえば、何かの達成感を演出したいときには
映画『アルマゲドン』の主題歌
『I Don’t Want to Miss a Thing』が使えます。
テレビ番組でも目標達成に成功した人が
ガッツポーズで登場して、
この曲が流れる場面がよくあるでしょう。
実は『I Don’t Want to Miss a Thing』の曲自体に、
達成感を伝えるメッセージはありません。
あらためて曲を聞いてみると、
「瞳を閉じたくない」「眠りにつきたくない」
「何一つ見逃したくない」といった歌詞になっています。
「素晴らしい体験を味わっている」
という趣旨の歌詞ではあるものの、
偉業を成し遂げた誇らしさなどとは無縁の歌詞なのです。
にもかかわらず、この曲を聞くと多くの人は
達成感や誇らしさを感じます。
なぜなら、映画『アルマゲドン』の中で
巨大隕石の衝突から人類が救われた、
感動的なシーンが脳裏に浮かぶからです。
元々の歌詞とは関係なく
映画のイメージで感情が揺さぶられるわけです。
あるトリガー(きっかけ)によって
特定の心理状態が蘇ることを、
アンカーが発火すると呼びます。
こうした映画やアニメの主題歌の場合は、
まさに楽曲がトリガーとなって、
その作品にまつわるアンカーが発火するわけですね。
このようにお客さんの前で音楽を流すときは、
曲の選び方1つで反応が変わってきます。
あなたがマーケティングやセールスに関わる場合は
この効果をぜひ覚えておいてください。