こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
今日は、私が好きな催眠療法家の
ミルトン・エリクソンの「すきっ歯の女性」の話です。
私はこの話が大好きで、
ことあるごとに紹介しているのですが、
ユーティライゼーションという考え方です。
ユーティライゼーションとは、
クライアントが持っている力を使って
相手の人生を変えるお手伝いをする考え方ですね。
コーチやコンサルタント、カウンセラーは
ぜひ知ってほしいと思います。
(↓ 引用ここから ↓)
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ある日のこと。
エリクソンの前にある女性が現れました。
彼女は、3カ月後に自殺すると決めていました。
その理由は「人生に何も興味が持てないから」でした。
その女性の風貌は、ひどいものでした。
美容院に生まれてから一度も行ったことがなく、
自分で切るので髪の毛はボサボサ。
ブラウスはボタンがとれかかっていました。
スカートはいつも同じスカートをはいているらしく、
擦り切れて、お尻のあたりは下着が透けて見えるほどでした。
靴には泥がベッタリとついていて、
前はワニの口のようにパカパカと割れていました。
そして、すきっ歯でした。
「わざとやっているのでは?」と思わずにはいられない風貌でした。
彼女は言いました。
「自分は人生にまったく興味がない。
自分に子供が産まれれば、もしかしたら、
唯一興味がもてるかもしれない。
でも、それも自分は醜いからありえない。
生まれてから一度も男性とお付き合いをした事はないし、
身寄りもない。
だから、3カ月後に死にます」と。
彼女は、変わった人がいるとエリクソンの噂を聞いて、
冥土の土産にでもと
ふらっと訪ねてきたのでした。
「風貌はひどいけれども、素顔はキレイな人だ」と
エリクソンは感じ、こう質問しました。
「あなた、貯金はいくらあるの?」
彼女は答えました。
「働いているから、お金はあるわ。何にも興味がないので、
使ってないの」
それに対して、エリクソンは言いました。
「どうせ死ぬんだし、死ぬ前にハチャメチャしたいんでしょ?
それなら、一気に散財してお金を使いきっちゃいましょう。
今まで買った事のない綺麗なドレスを買って、美容院でセットして、
いい靴も買って、無駄遣いをしましょう。」
彼女は、目を輝かせて言いました。
「それはいいわね。それほど無駄な事はない。やりましょう」
彼女は、エリクソンから言われたとおりにしました。
そして、翌週。
彼女は綺麗な身なりでエリクソンの前に現れました。
そして言いました。
「散財して気持ちがよかったわ。
もっとすぐにでも地獄に落ちるような事はないの?」
「それなら、お風呂に入った時にその前歯のすきっ歯の間から
シャーと水を出してビンにあてる練習をしましょう」
「なるほど、そんな事をしたら、すぐにでも地獄におちそうね」
そう納得し、練習をすることにしました。
そして、さらに翌週。
また、彼女は訪ねてきて言いました。
「私の唯一の楽しみは、休憩時間一人で炊事場でいる事なの。
でも、それを邪魔してくる男性がいるんです」
「それでは、その男性に向かって前歯のすきっ歯の間から、
水をシャーと出して出して命中させなさい」
「さすがに、それはやりたくないわ」
「あなたは3カ月後に死ぬんでしょ。
ハチャメチャやって地獄に落ちるのでしょう。
そんな事では地獄に落としてくれませんよ!」
彼女は、エリクソンの説得に折れ、
実際に行動に移すことにしました。
彼女は、翌日、休憩時間の炊事場に訪ねて来た男性に
前歯のすきっ歯から水を命中させました。
さらにその男性に暴言を浴びせかけました。
すると、その男性は追いかけてきました。
彼女は逃げたのですが、つかまってしまいました。
その男性は彼女を捕まえてキスをしました。
その翌日、また休憩時間、
彼女が前歯のすきっ歯から水をかけました。
男性は水鉄砲を持ってきて応戦しました。
炊事場は水びたしです。
そして、また男性はキスをしてきて、言いました。
「今日、夕食にいかない?」
「いいわよ」と彼女は言い、
生まれて初めて男性とのディナーに行きました。
そして、3カ月後。
二人は結婚をして、一年後には第一子が生まれました。
めでたし。めでたし。
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(↑ 引用ここまで ↑)
おそらく、セラピストでミルトン・エリクソンほど
クライアントが持っている力を引き出した人は
いないんじゃないかなあと私は思うのです。
私も、こういったことができるよう、
これからも修行していきます。