こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
以前、私たち人間が「持ち家」にこだわるのは
猿などの霊長類、犬、鳥、魚、昆虫に至るまで、
多くの生物に見られる、
「縄張り本能」
が原因である、ということをブログに書きました。
→私たちが持ち家にこだわる理由
今日は、この話の続き。
この「縄張り本能」という心理が、
人種差別も作り出していると私は考えています。
私たち日本を代表する小説家、島崎藤村(しまざきとうそん)の
代表作である『破戒(はかい)』という小説は
あなたも読んだ事があると思います。
この小説で描かれているのは、
時代が、江戸時代から明治時代になって
四民平等になったときの話ですよね。
全ての人は平等であるはずなのに、
依然「えた」が社会的に差別され続け、
それに苦しむ「えた」の主人公が書かれています。
あの本の壮絶な描写はもちろん、
ナチスのユダヤ人600万人の殺害、
オスマン帝国のアルメニア人150万人の殺害、
あるいは、現代における白人至上主義者など……
こういった差別を見る限り、
差別には論理性がなく、動物的な
「縄張り本能」
がそうさせていると思えてならないのです。
また、日本経済が復活するための処方箋として、
移民の受け入れという方法がありますが、
それが遅々として進まないのも
「縄張り本能」
が原因だと考えています。
つまり、自分と違う存在は受け入れたくない、
という本能、心理です。
ただ、「縄張り本能」があるから、
世の中の差別がなくならないと
言いたいのではありません。
私たちは、進化の過程で
大脳新皮質という、動物的な本能、心理を
コントロールするための理性を獲得しているからです。
かの手塚治虫は、
「人間は果てしなく賢明で、底知れず愚かだ」
という言葉を残しましたが、
愚かな本能を選ぶのか、
それとも賢明な人間的な理性を選ぶのかは、
私たち次第なのです。