こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
「群盲(ぐんもう)象(ゾウ)を評(ひょう)す」という
インド発祥の寓話がありますね。
私の読者だとご存知の方も多いと思いますが、
ご存知でない方のために一応解説しましょう。
この寓話は、数人の盲人が象(ゾウ)の体を触る、
というストーリーです。
ゾウの足を触った盲人は「これは柱のようだ」と答え、
ゾウの耳を触った盲人は「これは扇のようだ」と答え、
ゾウの腹を触った盲人は「これは壁のようだ」と答え……
というように、それぞれの盲人が触った場所によって
まったく違った感想を持った、という話です。
そこから転じて、
「視野が狭いと物事の本質がつかめない」
という意味で使われます。
それで、重要なのはここからです。
私が思う、優秀な教師の条件とは
まったく違って感じられる複数の事例から
本質を導ける人のことですね。
この寓話で言えば、柱も扇も壁も、
みんなゾウの一部だと気づける人です。
つまり、高い視点を持っているということですね。
そして、それを生徒に教えることで、
「アハ体験」をもたらす人です。
一度でもゾウの全体を認識すると、
盲人が今度はゾウの体のどこかを触っても、
それがゾウの一部だと認識できるようになるのです。
この変化は不可逆なんですね。
部分しか知らないうちは全体はつかめないですが、
一度、全体をつかめば部分に惑わされなくなるのです。
そのためには、教師には高い概念化能力や
抽象思考力が必要になります。
これが良い教師の条件だと私は信じています。