こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
ビジネスをしていると、
「自分の売りたい商品」と「世間に評価される商品」が
一致しないことがよくあります。
これは、起業や副業をする方はもちろん、
漫画家などクリエイターの世界でも起こる話です。
たとえば、漫画家・手塚治虫の代表作と言えば、
『鉄腕アトム』ですよね。
国民的ヒット作となっているため、
連載当時にこの漫画やアニメを見ていなくても
キャラクターや主題歌を知っている人が多いでしょう。
しかし、実はあまり知られていない逸話があります。
それは、「原作者の手塚治虫が
『鉄腕アトム』を駄作だと思っていた」
ということです。
これは業界人には有名な話だったらしく
ロッキング・オンが出版した雑誌『SIGHT』でも
「何故、手塚治虫はアトムが嫌いだったのか?」
という見出しで特集が組まれたことがありました。
もちろん、手塚治虫はアトムを全否定したわけではなく
ある程度の愛着を持っていたようですが、
クリエイターとして不満の残る出来だったようです。
その不満の理由は、『鉄腕アトム』の
明るく勧善懲悪な作風にあったと言われています。
『鉄腕アトム』の主人公は一貫して正義の味方で、
悪いロボットを撃退するのが基本です。
ただ、他の手塚治虫の作品は、
善悪があいまいで残酷な物語が多いですよね。
『ブッダ』『火の鳥』『ブラックジャック』などは、
主人公が聖人君子ではなく、
人間の業や負の側面を描いています。
つまり、本来の手塚治虫は、
世界の残酷さを容赦なく描写する作風なのです。
そんな手塚治虫から見ると、
勧善懲悪の作品『鉄腕アトム』は
駄作に他ならなかったのでしょう。
にもかかわらず、国民的ヒットとなったのは、
『鉄腕アトム』でした。
「もう一度見たい昭和のアニメランキングトップ10」
に載る手塚治虫作品は『鉄腕アトム』のみで、
他の作品はランク外になっています。
もし、『鉄腕アトム』を描いていなければ、
手塚治虫はマイナーなクリエイターのまま
生涯を終えていたかもしれません。
これは、皮肉な話ですよね。
さて、この「鉄腕アトムの皮肉」に似た出来事は、
個人事業主のビジネスでもよく起きます。
「Aの商品が売れているけど、
本当に売りたいのはBの商品だ」
と、悩む人は多いのです。
こういった「鉄腕アトムの皮肉」が起きたとき、
あなたはどうしたらいいのかわかりますか?
私に言わせれば、こうしたときこそ、
本質的なマーケティングが必要になります。
・世の中に評価される商品で注目を集める
・同時に、本当に売りたい商品が売れるようにする
この“両立”ができるように
マーケティングを設計していくのです。
たとえば、世間に評価される商品で集客してから、
徐々にお客さんに本音を伝えていって、
売りたい商品に誘導できるように戦略を練ります。
こうした“両立”が出来るのが、
本質的なマーケティングの力ですね。
言い換えると、お金のために情熱を捨てさせたり、
情熱のために貧乏な生活をするのは、
本質をわかっていない人の行動だと言えます。
そういった人は、手塚治虫のような才能があっても
世間に埋もれて消えていってしまうのです。
ご参考:相馬流ポジショニング理論