こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーは、
「己よりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」
と自らの墓碑に刻まれた。
この文章を読んで、あなたはどう感じましたか?
もしピンときたら、おそらくあなたは読書家でしょう。
これは経営学者のピーター・ドラッカー(以下、ドラッカー)が
著書『経営者の条件』の中で書いた文章です。
そして、ここからが重要なのですが、
この文章が明らかなウソであることはご存知でしょうか?
残念ながらアンドリュー・カーネギー(以下、カーネギー)の
墓碑名にはこういった言葉はまったく書かれていません。
このことは、検索すればすぐにわかります。
私も検索して、ものの数分でウソだとわかりました。
「Andrew Carnegie gravestone」というキーワードで
試しにGoogleで検索してみてください。
(gravestoneとは墓石の意味)
画像検索をすると、カーネギーの墓石は、
ケルト十字(十字架の一種)でデザインされた
シンプルな墓であることがわかります。
墓碑銘を読むと、カーネギーの生年月日と
没した年月日の2つが書いてあるだけで、
それ以上の情報はありません。
つまり、「カーネギーの墓碑銘うんぬん」の、
このドラッカーの話はウソなのです。
それにもかかわらず、たとえ読書家だったとしても
この話を信じている人って意外と多いんですよね。
その理由を私が想像するに、
「かの有名な経営学者である
ドラッカーの話だから間違いない」と盲信しているか、
「たった数分、Googleで検索をするのが面倒くさい」
と感じて行動しないのか、どちらかなのでしょう。
いずれにしても、「健全な批判精神」が足りない証拠で
知的に怠惰な態度と言わざるをえません。
最後に、豆知識を1つ。
日本では、ドラッカーは「経営の神様」として
非常にもてはやされていますが、
私はこの意見にはくみしません。
これは、彼の本を多数翻訳しているダイヤモンド社が
ドラッカーをうまくブランディングしただけだからです。
なぜなら、このダイヤモンド社は、
「ドラッカー塾 トップマネジメントコース」という
参加費180万円の経営塾を開催しているからです。
この高額な経営塾に集客をするために、
ドラッカーのブランディングが必要だったのでしょう。
その証拠に、あなたは海外の書店で
ビジネス書の棚を見たことはありますか?
すると海外ではドラッカーが
日本ほど大きく扱われていないことに気づくはずです。
もちろん、すばらしい経営学者の1人ですが、
経営の神様とまでは扱われていないのです。
それにもかかわらず、日本にはドラッカーを
あがめたてまつる人が多くて、私からすると少し滑稽です。